打抜き加工の概要

抜型と面板間に被加工材を挟み、加圧することで任意形状を打抜く加工法です。種類としては3種類あります。
ビクトリア式:V字型の板に抜型を取り付け、被加工材を挟み打抜く。
平盤打抜式:抜型を上部に固定し、面板を上下運動させることで、被加工材を挟み打抜く。
ロータリーカット式:回転する2本の筒(一方が抜型)の間に板紙を通すことで打抜く。

抜型の種類

どんな素材、形に抜きたいかにより型の種類が変わってきます。ここでは弊社が作成している代表的な3種について説明します。

パッケージ・カード類ほか、一般的な抜き加工の場合

使用する型→木製抜型(木製のボードに金属刃を埋め込んだ型)
使用する機械→平盤自動打抜機または手差し打抜機

微細な文字やカーブはできないが、刃を使い分ければ薄紙から厚紙まで抜ける。折り目やエンボスを同時につけられる。
打抜機に型をセットし、下から圧をかけて抜く。1つの型で30万回以上の抜きが可能(素材、刃の条件により変動)

シール類他、細かな抜き+薄紙の抜き加工の場合

使用する型→金属版(土台、刃とも全て金属で作る型)
使用する機械→ロータリーカッターまたは平盤打抜機

木製抜型では表現できない微細な文字や模様を抜きたい場合に使用する。ただし抜けるのは0.6mmぐらいの薄紙まで。
一般にシリンダーと呼ばれる円筒形の鋼に方を巻きつけ、回転させながらカットする。

プラスチックダンボール他、厚板抜きの場合

使用する型→木製抜型(木製のボードに金属刃を埋め込んだ型)
使用する機械→ローラーまたは平盤打抜機

打抜き加工のメリット、デメリット

メリット

安価な型で大量生産が可能

これまたクッキーの話です。○とか★でも手で切り出すときっときれいにはできないですよね。ましてやゾウやキリンなんか、どれだけがんばって作っても、カ バと区別がつかないとか。でも抜型さえあれば、壊れるまで何度でも同じ形に作ることができます。これが1つ目のメリット“型さえあれば何度でも同じものが 作れる”です。
あなたが作ったクッキーがとてもおいしくて店を開くことにしました。噂が噂を呼び、たちまち大繁盛!作っても作っても間に合いません。「一度にたくさん抜 いちゃえば楽勝じゃん」(きっとパティシエとして間違っています)。10個まとめて抜けるような型を作りました。一度の作業で10倍の生産力。これが2つ 目のメリット“複数組み合わせることで、一度で多くの製品を作れる”です。

デメリット

必ず抜型が必要となり、平面状(板状)のものしかできない

クッキーの売れ行きが良かったので、ケーキにも手を出しました。モンブランの大量発注があり、味をしめたあなたは、「これも抜きで作っちゃおう」と考えま した。結果は明らか。もちろんうまくいきません。これがデメリットの1つ目“(基本的に)立体のものは抜けない≒平面状のものに限られる”です。 ケーキを断念し、クッキー1本に絞ったところ、1枚だけの発注がありました。前にも書いたとおり、手ではうまくいきませんから、やむを得ず、1枚のために 型を作ることにしました。これが2つ目のデメリット“1枚作るにも型が必要”です。
以上、ご理解いただけたでしょうか?簡単にするためクッキーを例に話をしましたが、現実にはもっといろんなことができます。詳しくは「1ランク上のパッケージ抜型事例」にて紹介していきます。

抜型の基本構造